臨床病理検査室

臨床検査とは、患者さんの傷病状態を評価する目的で行う検査で、患者さんから採取した血液?尿?便?細胞などを調べる「検体検査」と心電図?呼吸機能?脳波?超音波など患者さんを直接調べる「生理機能検査」の2つに大きく分けられます。

これらは国家資格を有する臨床検査技師が担当しており、各診療科からの依頼に基づき、正確かつ迅速に結果が報告できるよう心がけています。
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採血?採尿室

検査案内

採血?採尿室では就学児以上の方を対象に採血を行っています。また、尿?便?喀痰などの採取方法の説明も行っています。

採血の流れ

  1. 「280 処置?採血?採尿」窓口(1階正面玄関からエスカレーターで2階へ上がると案内があります)の自動受付機に受付票または外来基本スケジュールのバーコードを読み取らせます。受付番号票が出力されるので受け取ってください。場合によっては、有人受付に案内され、受付スタッフが確認して受付します。
採血室発券機
採血室受付
  1. 受付後、依頼された検査に適した採取容器が準備されます。
  2. 整理券に書かれた番号が呼ばれましたら、採血室にお入りください。
採血室

採血を受けられる方へのお願いと注意事項

  1. 患者誤認防止のため、ご本人確認を行っております。ご自身でお名前とお誕生日をおっしゃっていただきます。
  2. みなさんの安全のため、以下の項目を確認させていただきます。該当項目がございましたら採血担当者にお申し出ください。
  • アルコール消毒や絆創膏でかぶれやすい(アルコールが含まれていない消毒薬やかぶれにくい絆創膏を使用します)
  • 採血時に気分が悪くなったことがある(ベッドで横になった状態で採血を行いますので受付時にお申し出ください)
  • 人工透析用のシャント血管がある(シャント側の腕を避けて採血を行います)
  • 乳房切除手術をした
  • 血液が止まりにくい
  1. 採血後、絆創膏で止血いたします。その上から採血部位を揉まずに押さえて(2~5分間程度)止血してください。止血直後に採血した側の腕で荷物を持ったり、腕にバックを掛けるなどの動作は避けてください。再出血する場合があります。
  2. 車椅子の方は、採血台まで直接ご案内いたします。受付時にお知らせください。
  3. 尿検査がある場合は紙コップと試験管をお渡しします。専用トイレで採尿し、採尿室奥の提出窓口にお出しください。
  4. 主に腕から採血します。袖のきつい服の着用は避けていただき、肘上まで出しやすい服装でお越しください。
検体検査室(緊急検査室)
血液を初めとする検体が集まる部署です。
検体検査には生化学検査、血液学検査、免疫学検査、細菌検査、一般検査などがあります。
緊急検査室では主に当直帯を中心に検体検査を実施していますが、1日に提出される検体数は平均約800患者で、日中の大部分は南棟で約11,000項目を実施し、1時間以内に報告すべく日夜奮闘しています。
これからも北部病院を訪れる患者さんと臨床貢献のため、職員一同頑張っていきたいと考えております。
生理機能検査室
生理検査では直接患者さんに接して様々な検査を行っています。

循環器検査

  1. 心電図検査:心臓は血管を通して血液を全身に送るポンプです。ポンプが弱くなり、血管が詰まると息切れや痛みが出現します。心電図検査ではこの様な心臓の状態を検査します。また、脈の乱れなど不整脈も検査できます。症状によっては、階段の昇降やベルトの上を早歩きして心臓の状態を観察することもあります。
  2. ホルター検査:日常生活の中での心臓の状態を24時間記録する検査です。機械を装着した翌日に機械を外すため、2日間連続の来院が必要になります。
  3. 血圧脈波検査(ABI):血管の硬さや詰まりをみる検査です。両上肢、両下肢の血圧を同時に測定します。血圧が測定できない箇所がある場合は申し出てください。

※検査は衣服を脱いで行いますので、脱ぎ着しやすい服装でお越しください。

超音波検査

超音波を発信しそこから返ってくるエコー(超音波)を受信し、コンピューター処理?画像化して診断します。被爆の心配がなく繰り返しの検査が可能です。
超音波検査には腹部、心臓、体表、血管などの検査があります。

  1. 腹部超音波検査:肝臓?胆嚢?膵臓?腎臓?脾臓など観察します。食事制限があり、基本検査前5~6時間は飲食できません。
  2. 心臓超音波検査:心臓の大きさ、動き、血液の流れなどを観察します。 
  3. 体表超音波検査:乳腺?甲状腺などを観察します。  
  4. 血管超音波検査:頸動脈?橈骨動脈?下肢血管などを観察します。動脈硬化の状態や血液の流れを観察します。   

呼吸機能検査

肺や呼吸器の病気が疑われるときに受ける検査です。
鼻をクリップでつまんでマウスピースをくわえて、息を吸ったり吐いたり口で呼吸をしてもらい、肺の働きや機能を見ます。肺の病気を持つ方の治療効果を判定するのに用いられる他、麻酔手術の術前検査としても必要です。正しい結果を得るためにはご本人の最大の努力を必要とします。ご協力をお願いします。

当院で行っている検査
①肺活量(VC) ②努力性肺活量(FVC) ③機能的残気量(FRC) ④肺拡散能(DLCO) ⑤クロージングボリューム(CV) ⑥呼吸抵抗  ⑦気道抵抗 ⑧睡眠時無呼吸症候群簡易検査  ⑨6分間歩行検査

脳波?筋電図検査

  1. 脳波検査:頭皮に電極を装着して覚醒時や睡眠時の脳の活動電位を記録する検査です。失神や痙攣などの原因を検査の途中で深呼吸や光などの刺激をして検査をすすめていきます。
  2. 筋電図:筋肉に医師が針電極を刺して筋肉の活動電位を調べる検査です。症状が筋肉によるものか神経によるものかを判断し重症度など判定します。
  3. 神経伝導検査:末梢神経の運動神経、感覚神経に電気刺激をしてその伝わる速度を調べる検査です。神経を刺激するため痛みを伴う検査ですが、手足のしびれや神経障害の状態を判断します。

※検査によりどうしても我慢できない痛みや苦痛を感じたら、遠慮せずに検査担当スタッフまで申し出てください。

聴力?嗅覚?平衡機能検査

  1. 聴力検査:代表的な検査は純音聴力検査で、ヘッドフォンから出る色々な種類の音が聴こえたら応答スイッチを押してもらい、どのくらいの音の大きさで聴こえるかを調べます。ティンパノメトリーは、鼓膜の動きやすさを確認し中耳の状態を調べます。他に語音聴力検査?耳小骨筋反射検査?内耳機能検査?耳管機能検査などを行っています。
  2. 嗅覚検査:嗅覚測定用基準臭を用い、臭素液を濾紙にしみこませて臭いを嗅いでもらう検査です。
  3. 平衡機能検査:平衡障害を評価する検査です。電気眼振計を用いて、追跡眼球検査?視運動検査?温度眼振検査(カロリック)などを行い、眼の動きを記録します。他に体の揺れを検出する重心動揺検査?遮眼書字検査を行っています。
輸血検査室
輸血に関する業務を担当している部署です。

輸血とは

血液は、赤血球、白血球や血小板といった細胞成分と血しょう成分からできていて、それぞれ独自の働きを持っています。十分な血液を作れない場合や、出血が大量なために生命に危険が生ずる場合や、血液を固めるタンパク質(凝固因子)が足りず、出血の危険がある場合にそれらを補う必要があります。輸血は、それをヒト由来の血液または血液成分で補う治療法の一種です。

輸血の種類

輸血で補うことができる成分は、主に赤血球、血小板、血しょう成分および凝固因子です。輸血は、それぞれの状況に適した血液製剤を選んで輸血します。各血液製剤は、日本赤十字社が献血によって得られた健康なヒトの血液から調整されます。(図1)
輸血の種類1図1
輸血の種類2
また、血しょう成分からは、種々の血しょう分画製剤が薬として作成されます。

輸血に必要な検査

本人以外の血液成分を補う上で副作用を発生する場合があります。代表的な副作用として溶血性副作用があり、この副作用を避けるため私たち検査技師が検査を実施します。
検査には、代表的な3つの検査があります。

1)ABO血液型、RhD血液型検査
  血液型は何十種類とありますが、その中で上記に記載した2つの血液型を検査します。
2)不規則抗体検査
  ABO血液型、RhD血液型以外は、無作為に補うため頻回に輸血を繰り返すと他の血液型抗原に対する抗体を産生する場合があります。
  産生された抗体は、総称して不規則抗体と呼び、この抗体も溶血性副作用の原因となり得るのできちんと検査を実施します。
3)交差適合試験
  最後に、実際に補う供血者の血液と、患者さんの血液との適合性を検査し輸血となります。

自己輸血について

輸血は他のヒトの血液で補うため、溶血性副作用の他にも様々な副作用があります。それら副作用を限りなくゼロにする安全な輸血として、自己血輸血があります。当院での自己血採血は、主に外来処置室において実施しています。他に自科外来、病棟でも実施しており、輸血検査室では採血された自己血を間違いなく採血された患者さん本人に輸血されるよう、管理しています。

その他

安全な輸血が実施できる施設として輸血に関する管理料を取得しており、また、専門の輸血検査技師の育成にも尽力しています。
1)輸血管理料Ⅰおよび輸血適正加算Ⅰを取得
2)認定輸血検査技師 
3)細胞治療認定管理師
4)二級臨床検査士(免疫血清学)
医師をはじめ、看護師、看護補助員、検査技師など様々な職種が関係し、安全な輸血が実施できるよう取り組んでいます。
病理検査室
病理検査室は各診療科から提出された臓器(組織?細胞)を対象に顕微鏡を用いて病気の最終診断をする部門です。病理検査室に提出される検体数は年間に組織診約10,000件、術中迅速組織診約270件、細胞診約6,000件に上ります。病理解剖は約25体です。

組織検査

採取された臓器はホルマリンという固定液で固定されます。固定?切出し後、臨床検査技師がパラフィンブロックの作製、パラフィンブロックを3~4μmの厚さに薄切、その後必要な染色をして組織標本を作製します。病理診断を専門とする病理医が標本を顕微鏡で観察して病気の診断をします。

また、術中迅速組織検査も行っています。これは組織を凍結して手術中の短い時間で診断する検査で、腫瘍の診断や切除断端の腫瘍の有無、リンパ節転移の有無などを検査します。この検査は外科医が切除範囲を決めたり、手術方法を確定する情報を提供する重要な検査です。
術中迅速組織検査 術中迅速組織検査
凍結組織標本の作製凍結組織標本の作製

細胞診検査

細胞診は患者さんの体から剥離?吸引?擦過?排出された細胞を臨床検査技師がスライドガラスに塗抹?染色をして標本を作製します。組織検査に比べて人体への侵襲性が低い検査です。

細胞診の診断は細胞検査士という認定資格をもった臨床検査技師と細胞診専門医の両者が顕微鏡で細胞を観察して病気の診断を行っています。

組織検査と同様に、術中迅速細胞診検査も行っています。
細胞診検査

病理解剖

解剖は病気で亡くなられた患者さんの死因究明、治療効果の判定などを目的としてご遺族の承諾を得て行われます。